ある村に、仙人様といわれるとっても頭のいいおじいさんが住んでいました。とても気品があって尊敬されていて、なんでもわかり、なんでもできるおじいさん。その村に神童とよばれる少年があらわれた。この少年があるとき聞くのです。 「お前も頭がいいけれども、あの仙人様にはかなわない」 といわれたので、少年は何とかして仙人様をやっつけたいと思うわけで、いろいろ考えあぐねているときに、森を歩いていると、小鳥のヒナがバサッと落ちてきた。まだ毛がはえていない。 それを見て少年は考えた。小さな子どもたちを集めて、 「おーい、みんな集まれ。俺は仙人様のところへこれを持っていって、やっつけるぞ」 といったから、 「どうやってやっつけるの?」 「あのな、このヒナを持っていって、こういうふうに手で握って、仙人様、仙人様、僕の手の中に小鳥のヒナがいます。生きていると思いますか、死んでいると思いますか」 「もし、死んでいるっていったら」 「生きていました」 「もし生きているっていったら」 「あのな、よく見ろ、俺の親指、この親指で手を開く前にきゅーっと締めて、すぐに死ぬから。そして、死んでいました」 「頭いいなあ、お前、頭いい」 これじゃ、仙人様もかなわない、ということで、小さなこどもたちは仙人様のいる丘に登っていった。 仙人様は、子どもたちが登ってくるのを見つめながら、ニコニコニコニコ本当に温かいまなざしで見ているわけだ。 さあ、仙人様の前に立って、例のようにやりました。 「仙人様、仙人様、僕の手の中に小鳥がいます。生きていると思いますか、死んでいると思いますか」 と、こういうふうに得意そうに身体を弓なりにしていった。 そうしたら、仙人様は答えない。 もう1回聞いた。 そうしたら仙人様は、その少年の瞳をじっと見つめてね、 「少年よ、その答えは君の手が握っている」 こういったそうです。 |